帰化するためには、法務局の面接をクリアする必要があります。
帰化申請で行われる面接試験について紹介する女性行政書士のイラスト。
外国籍の人が日本国籍を得るための帰化申請。
帰化手続きの中には面接があります。
この記事では面接試験について記載します。
コンテンツは以下の通りです。
・面接の概要と注意点。
・面接の質問例。
これら順番にご紹介していきます。
帰化の面接の概要。
内容を箇条書きにすると以下のようになります。
・申請書の受理から90日から120日後に行われる。
・法務局から面接の日時や持参物、面談を受ける人に関する連絡が来る。
・指定された日時に、法務局に足を運ぶ。
・原則的に家族全員が面接を受けることになる。
・面接は担当者と一対一で行われるケースが多い。
・面接官の質問内容は、3パターンある。
申請書に関すること、帰化の動機、申請者に関する内容。
・法務局は申請者のことを恐ろしいほど詳しく調べている。
・申請書に書いた内容は覚えておく必要がある。
・油断すると痛い目にあう。
面接を受ける必要がある人。
帰化を希望する申請者と同居の家族が面接の対象者になります。
帰化の面接が免除される人。
面接を受けなくてもよい人は、15歳未満の未成年者だけです。
未成年者でも15歳を超えると、面接を受ける必要があります。
特別永住者も受ける必要があります。
持参物が意外と多いです。
面接時に必要なものは、受付票の他にパスポートや免許証、在留カード、特別永住者証明書などが必要です。
パスポートは審査中に日本を出国していないかの確認に使用します。
免許証は審査中に交通違反や事故を起こしていないかをチェックするために必要です。
場合によっては、追加書類を持参するように求められるケースもあります。
面接は個別面接が基本です。
個室に一人ずつ呼ばれて、面接官と一対一で行われることが多いです。
たまに夫婦二人で行われることもあります。
私が知っている事例では、申請者が30分前後で家族は10分から15分前後です。
面接で見られる日本語能力
帰化申請の要件には日本語能力があります。
日本で日本人として、生きていく上で最低限必要な日本語のスキルをチェックされます。
日本語を話す能力は実際にコミュニケーションを取るのが確実です。
法務局は申請者や家族のことを徹底的に調べてから面接を行います。
法務局は職権で、申請者に関する様々な資料を取り寄せることができます。
代表的なもので、入管局からは申請者と家族のビザの記録があります。
これらの調査で得られた情報を元に、担当官は質問を行ってきます。
申請書に書かれていない内容も普通に聞いてきます。
法務局が調べた内容と申請書に齟齬があると、帰化の審査はシビアになります。
特に賞罰関係を書き忘れると、最悪の場合もあり得ます。
申請書を提出するときは、書き漏れがないか再度確認することをお勧めします。
帰化の面接で聞かれる内容。
帰化許可の面接で飛んでくる質問内容を紹介する行政書士の画像。
帰化申請の書籍などでは、申請書に関するが中心と書かれています。
これだけでは漠然としているので、実際に質問された内容を紹介します。
実際に面接を受けられた方達の情報です。
これが絶対に聞かれると言う訳ではないので、あくまでも参考程度にご活用ください。
質問内容は申請者とその家族で微妙に異なります。
例えば4人家族(父親、母親、長男、長女)が帰化する場合。
家族の属性は下記のとおりです。
・父親(会社員)
・母親(主婦でパート勤務)
・長男(大学生)
・長女(高校生)
4人に共通する質問内容
・名前と通称名
・生年月日
・出生地
・今の住所
・帰化後に予定している本籍地
・帰化後に使用する予定の氏名
・両親の名前
・両親の生年月日
帰化申請書と親族の概要に記載した内容を確認がメインです。
父親への質問
・妻と結婚した経緯
・仕事について
・友人関係
・交通違反
・犯罪関係
・取り寄せた本国書類の翻訳について
・帰化の動機
・審査中に事情の変化は無いか
・審査中に海外に出張したか?
帰化の面接は申請の代表者が一番、質問項目も多く時間もかかりますね。
母親への質問
・夫と結婚した経緯
・町内会や学校のPTAなどの地域活動
・仕事について
・友人関係
・交通違反
・犯罪関係
・海外旅行などをしたか?
長男(大学生)への質問
・大学の専攻内容や研究テーマ
・卒業後の進路について
・アルバイトの有無(職種や給与額)
・社会運動に参加の有無
・友人関係
・彼女がいるか
・審査中に海外旅行に行った?
・帰化したい理由
学生が帰化する場合は、学校生活や卒業後の進路についての質問が多くなりますね。
長女(高校生)への質問
・学校の勉強について
・将来の予定
・アルバイトについて
・社会運動について
・友人について
・交際している異性の有無
・交通違反
・犯罪関係
・帰化したい理由
帰化の面接でよく聞かれるは下記の通りです。
・仕事や学校について
・交際関係
・交通違反
・犯罪関係
・帰化の動機
・海外旅行
・将来の予定
他にも申請者への個別的な質問もありますが、個人情報保護の関係上、掲載は控えさせていただきます。
家族の質問を見てみると、同じような内容を繰り返し聞いているのが分かります。
ドラマの刑事さんが、同じ質問を何度も繰り返すのと同じ理由ですかね。
家族間で同じ質問で全然違う答えが返ってきたら、申請書の真実性に疑いが出てくるからでしょうか。
面接で帰化許可が不許可になるケースは少ないですが。
申請書の中身と質問の回答に、相違があることで不許可になった事例もあります。
かなりレアケースですが、面接でダメになることも有りますので、面接対策はしっかりと行う必要があります。
面接で不許可になった事例
帰化の面接が原因で不許可になる事例を紹介する女性行政書士のイラスト。
帰化の許可率(合格率)は80%以上、残る20%は不許可です。
法務省の統計によると帰化申請は受理された後の許可率は8割を超えています。
直近3年の帰化の許可率は以下の通りです。
・平成30年が91.26%
・平成29年が93.23%
・平成28年が83.24%
参考:法務省:帰化許可申請者数等の推移
http://www.moj.go.jp/MINJI/toukei_t_minj03.html
帰化許可率の計算方法
許可率の計算方法は、「帰化許可の合計数÷帰化申請者数の合計」で算出しました。
例えば平成30年の帰化許可申請(法務局が受理した件数)が9942名で許可者が9042名となっています。
計算すると。
9074÷9942×100=91.26%となります。
これだけを見ると、申請書を法務局に受理されたら80%以上の確率で日本国籍が手に入る事になります。
しかし残りの2割は不許可になってしまいます。
不許可の理由は色々ありますが、面接で不許可になることも珍しくありません。
実際に面接で不許可になったケース。
私が見聞きした不許可の事例は、面接で虚偽の内容を担当官に話したことです。
あとは履歴書の賞罰欄に不利な事実を書かなかったことも含まれます。
申請者がしていた留学生時代のアルバイトのことです。
留学ビザの制限を超えたアルバイトをして、入管局から指導を受けておりました。
申請者は事実を完全に忘れていました。
そして帰化申請書の賞罰欄にもオーバーワークの事実を記載しませんでした。
法務局が面接で留学生時代のオーバーワークについて質問しました。
申請者は「オーバーワークをした覚えはない」と答えてしまいました。
結果的に素行要件を満たさないとして不許可になりました。
留学生のアルバイトは週28時間で、夏休みは週40時間まで働けます。
それを超えるとオーバーワークになります。
法務局は申請者に面接を行う前に、申請者のことを徹底的に調べ上げます。
入管局は口頭レベルの注意も、しっかりと記録に残します。
入管局や法務局は虚偽を非常に嫌います。
ビザの申請でも一つの虚偽があると、問答無用で不許可処分を下してきます。
この方はかなり可哀そうなケースです。
他の条件は全部満たしていたけども、何年も前の事実を失念してしまったが為に不許可になってしまいました。
帰化申請は書類を作るときも面接を受けるためにも記入漏れがないか?
何か失念している事がないかを徹底的に調べる必要があります。