生計要件、自分の家族だけで生活できますか?
普通帰化の生計要件を紹介する女性行政書士のイラストです。
特別永住者や日本人と結婚した人を除く一般の外国人が帰化するための条件。
普通帰化の4番目の条件は生計要件です。
国籍法第5条第1項4号には、こう書かれています。
自己または生計を一にする配偶者その他親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
要は自分たち家族だけの収入や資産で生活できますか?
という意味ですね。
この条件は過去から未来にかけて、公共の負担となるような人物の帰化を防ぐために設けられています。
公共の負担とは生活保護のお世話になる事です。
生計条件の対象者は、帰化申請者とその家族になります。
申請者が単独で自活できる経済能力がなくても、同居の親族の収入で生活できるのであればOKです。
また親元から離れて一人暮らしする学生の場合でも、親からの仕送りとバイトで生活できていれば問題ないです。
生計要件は大分緩和されました。
かなり昔の話になりますが、昭和59年の国籍法の法改正前の生計要件は、帰化申請者本人に経済力があることを要求されていました。
法律が改正されて、仕送りなどで生活する学生などでも帰化することが可能になっています。
時代を経るにつれて、帰化の要件が緩和された部分も少なくないですね。
例えば特別永住者が帰化するときは、動機書の作成や宣誓が不要になったり、書類が免除されるケースもあります。
逆に厳しくなった面もあります。
法改正で年金の加入と納付が義務化されました。
最近の帰化は永住ビザの要件に近づいている傾向がありますね。
帰化申請時のビザの期間が1年だと許可が出なかったり、会社経営者の年金義務が厳しくなったりしています。
生計要件の収入の目安
帰化申請で求められる最低限の収入額を紹介する行政書士の画像。
帰化申請は永住ビザよりも収入要件が緩くなっています。
概ね月額18万円前後の収入と家計が赤字になっていないことをクリアすればOKです。
サラリーマンであれば手取りの給料が18万円。
自営業も同じく18万円の手取り収入。
会社役員なら、役員報酬が18万円となります。
専業主婦・夫の場合は、配偶者など親族の収入が18万円あればOKです。
ポイントは家計が赤字でないことです。
毎月の収入で生活費が賄えないと生計要件を満たさないと法務局に判断されます。
住宅ローンや子供への仕送りなどの支出が多い場合は、月18万円では足りない可能性もあります。
ちなみに永住ビザの場合は、最低年収が300万円で扶養家族が一人増えるごとに70万円の年収が加算されます。
例えば3人家族だと、300万円+140万円(二人分)で440万円が無いと在留資格「永住」の許可は難しいです。
事例:生活費を会社の経費で落としていた場合。
帰化申請を希望する会社役員や経営者の中に、役員報酬などが極端に低いケースがあります。
経営者の場合、生活費の一部を会社の経費で落としている場合ですね。
家や社宅扱い、通信費や車は営業用、外食は外食費といった具合に。
これが良いか悪いかは兎も角として・・・
自営業や経営者の場合、生活と事業の線引きが難しい部分があります。
しかしながら帰化申請にとっては、デメリットしかありません。
役員報酬が低すぎて、帰化の生計要件を満たさないと見做され不許可になる可能性が非常に高いです。
対処法は役員報酬を生計要件を満たせる程度にまで、引き上げる必要があります。
会社の役員報酬は引き上げるタイミングが限られていますので、今期で引き上げが出来なければ・・・
帰化申請をする時期を1年間ずらすことになります。
役員報酬の増額の手続きの解説がありましたのでリンクを張っておきます。
国税庁のサイトです。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm
ご興味のある方はどうぞ。
生計要件は財産の多さよりも安定収入が大事です。
帰化申請でよくある質問に、
・貯金は幾らくらい必要ですか?
・貯金や財産がないと不許可になりますか?
帰化申請で貯金額を通帳のコピーや残高証明書を法務局に提出します。
ぶっちゃけ、貯金が少なくても許可に影響は無いですね。
それよりも毎月安定した給料などの収入があって、赤字でないほうを重視されています。
見せ金を作る必要はありません。
時折、資産が多いほうが帰化に有利だと考えて、友人や親戚などからお金を借りて通帳に預けるケースがあります。
これは絶対にやらないでくださいね。
今まで入ったことがないような大金が突然、銀行口座に入金されていることを法務局の担当官から突っ込まれます。
不自然な入金があると申請で疚しいことがあるのではと、行政庁から疑われて審査が厳しくなってしまいます。
少しでも有利な状況を作って、不安をなくしたい心情は理解できますが・・・
見せ金は百害あって一利なしです。
持ち家があると帰化は有利になりますか?
これも良くある質問になります。
結論から言うと、住居は賃貸でも持ち家でも問題ありません。
家のローンや家賃を滞納さえしていなければOKです。
借金があると帰化できませんか?
これもよく聞かれます。
答えはキチンと返済できていれば、特に問題はありません。
逆に借金のトラブルで裁判所や公的機関が絡んだ場合は審査上で著しく不利になります。
クレジットカードの支払いなどで、滞納して裁判沙汰になっていた場合はかなり厳しくなります。
生計要件のまとめ
帰化の生計要件は、帰化申請者とその家族の収入や資産で生きていけますか?を問うています。
重要なのは安定収入と家計が黒字であることです。
財産はあるに越したことが無いですけども、安定した生活が遅れていれば問題ありません。
また生計要件は様々な資料で確認されます。
代表的なものを挙げると
・生計の要件その1
・生計の要件その2
・事業の概要
・在勤及び給与証明書
・源泉徴収票
・通帳のコピー、残高証明書
・確定申告書
複数の書面で様々な角度から、生計要件が確認されていきます。
法務局の担当官の印象を良くしようと、収入や財産を見栄えよくしても、どこかでボロが出てしまいます。
法務局や出入国在留管理庁に限らず、許認可申請では虚偽申請を一番嫌います。
虚偽とまでは行かなくても、書類にお化粧をしてそれがバレた時は審査が厳しくなります。
正直にありのままを報告するのが一番楽で確実だと私は思います。